出た!日曜サスペンス
穏やかな気分で朝を向え、GW最後の仕事。
午前中に姉からお母さんと連絡がつかないと
メールが数本入っていた。
母の近況を伝えていなかったし、ひとまず
近況方々、休憩時間に姉へメールを入れた。
ついでに母に電話をした。
おっと!あの地獄の声ではないけれど、
様子がおかしいと感じたが、
「あ、お母さん?サクチャンだよ~ん。
今日も温かいね。庭いじりしたの?」
「午前中に・・・」
「あれ?どうしたの?元気ないね。
あ、そうそう、お姉ちゃんから『お母さんが
いない』ってメールが4-5本入っていたわよ。
相変わらず、お姉ちゃんは心配性ねぇ~ふふふふふ」
「心配って・・・」と母は泣き出した。
「あら、悲しいの?」
「だって、カエデったら何か言うと『お母さんは!』って
キーキー凄い声でいうの。『だからお母さんは!』って」
「そうねぇ、お姉ちゃん、声が高いからね」
「声が高いっていうわけじゃない。私ね、サクチャン
はそういう言い方しないし、私にもわかりやすく
言ってくれるでしょう、だからそう言ったの」
「そう・・・」「ダメだった?}
「ん~ダメってことないけど、お姉ちゃんね、
比べられるとイヤだと思うの。姉の沽券もあるしね」
「だって・・・・。」
「ま、いいわ。忘れよう!」
「お金のことじゃないから」
「そんなことを言っていないわよ。大丈夫なんでしょう?」
「うん、あれ以来、カエデも言わないもの」
「そうね、今後の治療費とかもあるからね」
「そうなの、これから薬代とかかかったら困るから。
もうお金もないもの」と再び泣き始める。
実は、母と姉の間には秘密の通帳があった。
カードを姉が持ち、母の口座から借りるというもの。
私は全く知らず、その通帳を見て驚いた。
私にとっても高額で、母と姉の関係を不思議に感じた。
母のお金は、母のものなので、どうしようと関係ない。
でも、今後のことを考えるとそれは困る。
医療費負担額も三割だし、健康保険適応外もある。
・・・というわけで、落ち着いていた母が夜になって
妄想に苛まされて、お隣の塩田さんへ駆け込んだ。
23時半過ぎに塩田さんから電話があり、その旨を聞き、
直ぐに母に電話をした。あの声で出た。
寝ていたわけじゃないそうだ。
「塩田さんから連絡がいったの?」
「そうよ、塩田さん、とても心配していたわよ。
でも塩田さんのおばさんも調子悪いから寝るって」
「そう、ごめんね。塩田さんに行こうか迷ったけど・・・」
「うん、わかったよ。塩田さんが心配して私に電話をして
くれてよかったと思っているからね」「ありがとう」と号泣。
「夕御飯は食べた?」
「食べたわ。7時頃に食べた」
「そう、何時頃おかしいことに気づいたの?」
「私がおかしいんじゃないわよ。テープルにね、
薬が散らかっていて、誰かのメモがあるの。
そしてね、通帳など貴重品の仕舞い方が違っているの」
「あらぁ、そう、不思議ね。塩田さんへ行ったのは
10時半ぐらいね。それまでドキドキしちゃっていたのね」
「そう。だって通帳の仕舞い方がね、変わっているの」
「そう、7時過ぎから10時半まで3時間以上も
ドキドキしていたら疲れたでしょう」
「7時~10時半迄、色々していたの。薬を飲み忘れたら
困るから、箱からだして、今週分を整理していたの」
「そう、薬を整理するのに出していたんだね」
「・・・塩田さんに行くことを悩んだの。でも現場を見て
ほしかったの」「そして安心したのね」「安心・・・」
「メモはね大きな字で『平成』って書いてあるの。
そしてね『適』の次にお乳のチチの左側が書いてあって・・
この字は私の字に似ているけど、違うの・・・」
「あ!」「どうしたの?」「ごめん、メールが着たの。」
「え?カエデ?」「あ、ごめん、学生から」
「そう、こんな時間に?」「みんな、必死だからね」
「そう、学生さんは勉強しているのね。サクチャンも
忙しいのにごめんね」と再び泣き出した。
「お母さん、今日のメールを見てくれた?」
「うん、見た。お父さんも私の母も見守っているって。
嬉しかった。すぐにお父さんにありがとうって言ったわ」
「そうよ、大丈夫!深呼吸、深呼吸。私の今の仕事はね、
とりあえずメールをくれた学生に返事を出すこと。
お母さんのいま仕事は、お父さんに10回『ありがとう』と
伝えることと思う。お父さんも子どもだからお母さんに
10回も『ありがとう』と言われたら、舞い上がって
もっと見守り強化すると思うわ。」
「そうね、お父さん、子どもっぽい人だから・・・」
「じゃぁ、開始!」
「ありがとう。ごめんね」
・・・その10分後、母から電話があって、
先ほどのメモのことを言い出した。
「お父さんにありがとうを10回言ってね、
寝ようとしたら布団の上にメモがあってね、大きく平成と・・」
と再びそのメモ内容を。繰り返し、繰り返し、6回。
さすがにちょっとゲンナリ。いつまで続くか12時10分!
「そうだね、お母さんの辛さが伝わるわ。
6回も繰り返していうぐらい辛いんだね」
「あら、私、そんなに言っているの?」
「ふふふふふ、言っているわよ。暗記しちゃったぁ」
「あら、ごめん。明日、朝起きたら、部屋の様子が
変わっていたらどうしよう」
「見て見ぬふり。お母さん、世の中、忘れないほうが
いいことと、忘れないほうがいいこととがあるわよ。
それにね、気がつかないフリも生きる智恵よね。」
「そうか・・・」
「私はそう思うの。朝起きても様子が変わっていない
かもしれないし、先走って考えると疲れるからね。
朝起きて、ちらりと見て、もし、変わってたら、
見てみないフリ。時計を見て、御飯を食べて、
お父さんとお茶飲んで、薬も飲んで、一息つく。
それから考えようよ。昔の人が『考え事を夜したらダメ』
っていうじゃないの。昔の人はいいこと言うわネェ」
「あら、そうなの?母は言っていなかった」
「おばあちゃんったらお母さんに言い忘れたかも?
私は、おばあちゃんから聞いたわよ。ふふふふふ」
「そう、言っていたんだ。気づかなかったのかしら」
「ふふふ、お母さんも気づかないことがあるんだね」
「たくさんあるわよ。まぁ、いいわ、寝る」
「そうしてね。疲れたでしょう。お休みね」
「頭がおかしくなりそうで疲れた。寝るわ、ありがとう」
・・・ちなにに私は母の母親が死んでから生まれた。
なんたって、母が数え年で15歳の時、つまり今から
65年以上も前に他界している。
母は仮想と現実の中に入り込むときがある。
不思議な国。アリスの国に入り込む。
ま、小さいから入りやすいのかもしれない。
でもぉ、私が今日したメールの内容も覚えているし、
お父さんに10回『ありがとう』を言うってことも
覚えていて「10回言って、寝ようとしたら・・・」と
言っていたし・・・・突然スイッチが入るのかしら。
脳って不思議だわ。私は不思議な国のガリバー気分。
5月7日(月)1:00
サクラ
追記
姉から返信が着ていた。私は、姉の短い文章から
マイナス感情を読み取った。言葉には限界性があるが、
姉はそこから肯定的に読み取ることよりも
違った世界に入り込む。私は同行しない。
不安定になっても母は姉のメンタル面を気にかける。