サクラ吹雪か? サクラ嵐か?


「こちらによこしてください」
「こちらに来るよう説得して下さい」

姉が繰り返し言ってくる。
別に私は姉にところに行くことを進めないし、
精神的に不安定な姉に母を行かせられない。

母は「私、行かないから。身ぐるみはがされてしまう。
お願い、サクチャン、見捨てないで!」と泣く。
「安心して頂戴。お母さんが行きたくないものを
行かせるわけないでしょう」

母が泣いて訴えると「それがアルツの症状よ」と。
この件を私に伝えてきた際、母の様子は極めてまとも。

以前もそうだったけど、母は腹が据わると
超まともになり、私は「おっしゃる通でございます」と思う。

「カエデ、狂ったんじゃないの?まともじゃないわね。
つよしくん(姉の夫)に連絡をしたほうがいいかしら…。
ホント、おかしくなるのはアルツの私だけにしてほしいわ。
ホントに冗談言っている場合じゃないけど。
サクチャン、かわいそうだね、何のために生まれてきたのか。
子どもの頃から、じーっと大人しくて、病気して、そして
ひとりでいきて、しまいに私のことで苦労して、それに姉の
ことに苦しめられて。おちおちボケてもいられないわ。
サクチャン、ひとりになっちゃうものね。いい?長生きしていい?」

すんごーく嬉しかったし、いまもパチパチとキーを打ちながら
涙があふれてくる。

私も姉の度重なるおかしなメールを放置しておこうと思ったけれど、
母へ留守番電話があって「いろいろ誤解があるようで、いつでも
着ていいと前から言っているように、こっちにくるように」とあり、
またまた、母は泣く始末。

しつこい電話を1度目「もしもし」と姉の声が聞こえるなり、
私は「そんなに心配だったら様子でも見に来たら?」と言って
そのまま切った。すぐにかかってきた。私は受話器をあげ、
そのまま切った。初めての経験。
けっこうトキドキしたけど、やればできるものだと自分を感心。
意外に小心者の部分があるし、そういうことをしてはいけないと
思ってきたけど、やっていい時があると正当化する自分が生まれていた。

「よこして下さい、説得して下さい、って誰のため?
それによって何がもたらせられるの?世の中、感情だけで
進まないと思う。メリットとリスクを比べて決めると思います」

「そんなに妹が信頼できないのであれば、面倒みる、見ないだけ
ではなく、自分でお母さんの介護プランなどの事務処理なども
したほうがいいと思います」

「あえて言います。狭い価値観と浅い知識で評価したり、
決めつけたりしないほうがいいと思います。聞きかじったり、
受け売りでものをいうのは品性がない!と思います。お母さんを
引き取るならば『毎朝8時半に薬ですよコールをする』
『自己全能観を修正する』ことが必要と思います。」

これまで「何を言っても言い訳にしか聞こえないでしょうから
私は何もいいません」としたこともあったけど、これもNG。

そして、別のバージョンとして、誤解を解いてもらうために
姉の攻撃ポイントに対して事情説明をしてきた。
でも、重箱隅ほじり系であれば「そうだったの」とならず、
「お母さんということが違う」が始まり、更には次々と矛先が変更。

で、今回のパターンは、自分の意見を言った。
3つのバージョンを展開した。今後、更にバージョンアップが
必要にならないように祈る。

夕方16時半頃、母に電話をした。
「あら、たった今、カエデからの電話をきったのよ」
確かに母はカルタ取り名人のように電話に出るのが早かった。

「そう、大丈夫?」
「うん、大丈夫。ホント、何を言っているのかしらね。
こんな時間に『薬を飲んだ?』って聞くの?」
「あ、そう、夕方の薬について言っていないんだけど…」
「違うわよ、朝の薬を飲んだかってことよ」
「え?朝の薬の話?」
「そうよ、何を言っているのかしらね。こんな時間に
間違えて朝の薬をまた飲んだらどうするのかしら?
意味がわかっているのかしらね?」と母は極めてまとも。
声も弱弱しさもなく、肩に力がはいった感じもなく、
むかーしの母の様子が伺える。

で、私は姉に「わかっているかと思いますが、念のため。
毎朝8時半に電話をして、朝食が済んだか確認します。
済んでいたら、その場で、受話器を置いて、薬を
飲んでもらいます。もし、朝食が済んでいなかったら、
『○時○分にもう一度電話をするからね。朝ごはんを食べて
電話を待っていてね』と1時間程度後を指定。たとえ
『大丈夫』と言っても『共同作業だから』などと言って
心理的負担を緩和して下さい。毎朝8時30分です」
とメールを入れた。

もちろん、念のため、私は明日8時45分にかける。

サクラ